第5章 全盲ママの入院生活――はじめての長期入院をどう過ごしたか

病院のベッドでノートを持ち、落ち着いた表情の全盲妊婦(水彩イラスト風) 妊娠・出産体験記

こんにちは😊

晴眼者のパートナーと1歳になる息子を育てている全盲ママです。今回は、私が初めて「長く入院して過ごす」ことになった出産前後の入院生活についてまとめます。視覚障害のある妊婦さんが、病院でどう動けば安心か――私の実体験がヒントになれば嬉しいです。

入院先は総合病院を選びました

総合病院の産科受付で、全盲の妊婦が助産師と入院手続きを確認。案内板と受付カウンター、落ち着いた待合の雰囲気
受付カウンター越しに助産師と会話。母は白杖または点滴台。産科の表示が分かる簡潔な表現。

住んでいる地域は産院が少なく、妊娠前から通っていた総合病院の産科にそのまま移行しました。

以前に後期流産(16週)を経験していたこともあり、何かあったときの安心感を優先。

病院からは「全盲のママは市として初めて」と伝えられ、受け入れ体制を一緒に考えていただけました。

病室は「大部屋 → 特別個室 → 普通個室」

大部屋から特別個室、さらに普通個室へと病室が変わる。ベッド位置やトイレの距離の違いをスタッフと確認する母の様子水彩イラスト
3コマ/ピクトで「大部屋→特別個室→普通個室」の遷移。ベッド位置・トイレ距離の違いを簡潔に。

入院初日:個室が空いておらず大部屋へ。ベッドは入口付近、トイレに近い場所を調整していただき、動線に配慮してもらえました。

その後:特別個室に移動。広くて快適でしたが、目印が少なく位置把握に時間がかかりました。

最終的に普通個室へ:広すぎず、トイレ・洗面も近く、いちばん動きやすかったです。

私が動線を覚えたやり方

  • 初回はナースコールで付き添いをお願い。
  • 2〜3回、同じルートを同じ歩数・曲がり方で往復し、身体で道順を記憶。
  • 共有スペース(洗面・浴室)は使用前後の位置・棚を触って確認。
  • ドアや手すりなど、触れる“目印”を自分の中で決める。

これでナースコールの回数が減り、自立して動ける場面が増えました。

※混雑時や不安なときは、遠慮なく呼ぶのが安全です。

母子同室のスタートと、最初のつまずき

母子同室の病室。出産直後は睡眠不足のため赤ちゃんを一時預かってもらい、翌日から授乳が始まる場面。母は横になって休息している水彩イラスト
病室のベッドと新生児ベッド。母は休息、翌日は授乳スタートを小さなカットで示す。

産科は基本母子同室。私は出産直後、数日間ほとんど眠れておらず、初日は病院で赤ちゃんを預かってもらいました。

翌日から赤ちゃんのお世話がスタート。ここで初めて 「3時間ごとの授乳」 を正しく理解できていないことに気づきました。

スマホにアラームを設定し、音声読み上げで確認。

記録は紙ではなく、スマホに時刻・内容を音声入力。

共有スペースでの気づき

洗面や浴室は、使用後の汚れや水滴の確認が難しいことがあります。私はできるだけ丁寧に使ったつもりでも気になりました。

→ 「見えていない部分で汚れがあれば教えてください」 と一言添えると安心です。

足りなかったもの

  • 下着:出産前後でトータル8日間の入院。3枚では足りず、最低6〜7枚は必要でした。
  • 夜用ナプキン(羽つき):病院支給の大きいパッドは安心感はあるがズレやすい。3日目以降は夜用ナプキンの方が快適。
  • 水:飲む量が増えるので、ペットボトルを多めに。

持って行って良かったもの

  • あたたかいルームソックス
  • 貼るホッカイロ(陣痛中や肩こりの痛みを和らげるのに役立ちました)
  • ストローキャップ(横になりながらでも水分補給しやすい)
  • 汗拭きシート(大量に汗をかくので◎)
  • ハンディ扇風機(机置きタイプ):空調調整が難しい大部屋で大活躍
  • 少し高価なご褒美スキンケアセット(トラベル用):産後の気分転換に◎

いらなかったもの

持ち物として用意していたお菓子。病院の食事が十分においしく、さらにおやつも出ていたので、出番はほぼありませんでした。

安心のためにやって良かった小ワザ

  • タイマー運用:授乳・搾乳・投薬は音声アラームで忘れ防止。
  • 荷物の置き場所を固定:ベッド右手に水、左手にスマホ、引き出し上段はナプキン…とルール化。
  • 看護師さんへ事前共有:「見え方」「声かけの仕方」「触って確認したい場面」などを最初に伝える。

まとめ

退院前、学びを家族と共有して笑顔の母。ベッド横に定位置化した荷物と記録ノート、落ち着いた病室の雰囲気の水彩イラスト
家族と穏やかに会話。

入院生活は環境に慣れるまでが大変。

でも、動線の工夫・記録の工夫・持ち物準備でぐっと過ごしやすくなりました。

視覚障害があっても、頼るところは遠慮なく頼る――これがいちばん大事だと思います。

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